プログレス物理化学 II (20141003)
M: 以下は宮本のコメント
- 12s3007:
- 1 電子オービタルに 2 電子をつめただけだと電子間のポテンシャルはどうなっているのか. M: 別に. ハミルトニアンにある通り, 普通の電子間のクーロンポテンシャルですけど...
- 12s3022:
- Born-Oppenheimer 近似において, 核は核に対して動くことはありますか. M: ``電子の運動に対して核は止っているものとする. 核の運動に対して電子は平均的な分布のポテンシャルを与えるものとする.'' ということは, 言い替えれば, 電子の運動と核の運動を分離して考えるということです. 核間距離が変化するような場合を考えるということは, それは分子内振動の問題ですね.
- 12s3029:
- H
分子の電子に対して核が止まっているという近似を用いるとどうして (9.1) の式の核の運動エネルギーの項が消えるのかがよくわかりませんでした. M: そうですか. 提出物が要件を満足していません. // 止っていて運動していないのだから, 運動エネルギーはゼロです. したがって微分演算子の段階で消してしまっても同じことになる.
- 12s3033*:
- 等核二原子分子で分子の対称性を利用していたが, 等核三原子など核の数が増えても分子の対称性が保っていれば同じように考えることができるのか. M: 多原子分子になれば, 元素の種類だけでなく原子の幾何学的な配置も重要になってきます. そこで使われるのが群論 (点群) です. 実は等核二原子分子でも, この知識を使用していた. この分子は
の点群に属するが,
と分子軸に垂直な
を用いた話をちらっとしました.
- 12s3034:
- 分子の対称性というシンプルな方法で簡単にしているが, このようなシンプルな方法を用いて簡単にする例は他にもあるのか. M: もちろん.
- 12s3035:
- CPK モデルの外殻を, 一定以上の電子の確立[ママ]密度をもつ領域としたとき, 各原子の形は球形ではなくなるのでしょうか. M: そもそも ``分子は原子が集って結合したもの'' という発想なので, 基本の構成要素となる原子は, 素直に原子の形をしていると考えているだろう. そこで自由空間に存在する原子が, 特定の方向に歪み変形する理由があるだろうか?
- 12s3036:
- なぜ Litz の変分法で考えないのか? M: 別に. わざわざ難しい煩雑な過程を経て解を得る必要はないのでは?
- 12s3040:
- 電子を観測する時に節で確認されてしまうという事は, 無いのか. 絶対は無い, 式を解くと 0 になるので無い, と言われればそれで終りかもしれませんが. M: 終りです, 式を觧く必要すら無いくらい. 波動関数の二乗が粒子の存在確率であり, それが零であるということは粒子が存在しないということ. ここにどうして例外が生じる余地があると考えるのか, 不思議です.
- 12s3044:
- H
分子を考えるとき, H
分子に電子一つつめるだけだと言っていたが, なぜそれだけで H
分子を考えることができるのか. M: そんなことを言った覚えはありません. おそらく誤解でしょう. // そもそも未知のことを理解しようとするときに, 既知の類似のものを手掛りにするのは, 普通の考えかただと思うのですが...
- 12s3045:
- 問題演習も随時行うとあったのですが 予習は構造物理 I, II の時と同じような形で行えばいいのですか. M: (配布した) シラバスにも記載されています. しかしそれに限らず, 各自が自分に会った方法で勉強すればいいのではないでしょうか.
- 12s3047*:
- 通常, オクテット則を見たす[ママ]分子に含まれる C や, N, O は, sp, sp
, sp
混成をとって結合しますが, オクテット則を満たさない H
SO
の S や, H
PO
の P などは どのような混成軌道をとっているのですか? また, どのような軌道が混成して結合性軌道を形成しているのですか? M: 確かに オクテット則 は, 簡単な典型元素の化合物について, その原子間の結合様式などを上手く説明できているように見えます. しかし原子・分子の世界の法則である量子力学の立場から見ると, 驚くべきことにオクテット則に根拠はありません.
- 11s3013+:
- 授業内で言っていたかもしれませんが, もし上手に実験ができれば反結合性軌道の
が 0 のところにある電子をつかまえることが可能ということですか. M: 全く違います. ``もしも電子が古典的粒子のように運動の軌跡を考えることができるならば,
の地点で電子を見つけることができるかもしれない. しかしそれは, 電子の存在確率がゼロという事と矛盾する. 従って電子は古典的粒子のように運動の軌跡を考えることはできない.'' ということです.
- 11s3046:
- 水素分子の場合 H
を H
とおいて考えるが, 他の分子の場合は どのように考えればよいか. M: 一電子の系を基本として考える. すなわち原子であれば水素型原子 (hydrogen-like atom). 一般の多原子分子の場合には, 一電子近似を採用することで, 一電子オービタルを求めます.
- 10s3042:
-
を 3 次元意外の次数を持つ式に用いることはあるのでしょうか.
M:
は 3 次元のデカルト座標系では, 黒板に記したものです. 2 次元では, x と y の二つに項を減らせばよい ;-p // n 次元の場合へは簡単に拡張できる. 詳しくは物理数学の本を見てください.
rmiya, 2014-11-27