化学の基礎II(G) (20131217)
M: 以下は宮本のコメント
- 13s3001:
- 原子核はフェルミ粒子である陽子と中性子からできているのに,
He 原子核がボース粒子なのはなぜですか. M: 複数の粒子 (部品) が, まとまってひとつの粒子 (装置) として振る舞うことは, 日常的にもよくあることでは? // 複合粒子において, 構成粒子のスピン角運動量を合成することを考えてみると... 半奇数の偶数倍は, 整数です. // あるいは, 複合粒子 (He-4 核) の交換を考えてもよい. 2 個の He-4 核を交換することは, 核を構成しているフェルミ粒子 4 個をそれぞれ交換することに相当し,
で波動関数の符号は変わらない. これはボース粒子.
- 13s3002:
- 不確定性原理で位置を決めるときは, 電波をあてることでしたが, ステルスはそれをさえぎることで感知されないんですか? M: ステルス機の位置を正確に決められない (?) のは, 不確定性原理のためではありません
:-p
- 13s3003:
- 1 つのボース粒子と 1 つのフェルミ粒子が同じ状態
にある確率を考えたときの式は, どのように表されますか. M: 異種粒子は同じ状態になれるのか?
- 13s3004*:
- ボース粒子であるかフェルミ粒子であるかは 何によって決定されるのですか. スピンが整数だからボース粒子ということですか. M: 私は知りません. 種々の粒子がそれぞれどちらかであると, 私たちの世界・自然がそうなっているということ. // まあそうですね.
- 13s3005+:
- [時候の挨拶は省略] パウリの原理のところで, フェルミ粒子の場合は 2 個以上の粒子が同じ状態をとることができないとあるが, ここでの状態というのは どのようなことをいうのでしょうか. M: 簡単には, 量子数で指定されるあるエネルギーや角運動量などの物理量を持った状態.
- 13s3006:
- フェルミ粒子は 2 個以上の粒子が同じ状態をとることができないとありますが, 同じ状態とは どのような状態なのでしょうか. M: 13s3005 参照
- 13s3007+:
- ミクロな粒子は区別できないのはわかりますが, その粒子に仮に番号をつけて衝突させたあとどっちにいったかわからないとありましたが, 普通はぶつかったあと反対方向にいくので, どっちが 1 番か 2 番かわかると思うんですけど, どういうことなのでしょうか. M: 粒子が衝突すれば反跳するかもしれないが, 波ならどうか? で, 衝突に際してミクロな粒子は粒子 or 波のどちらとして振る舞うのか?? // 別の説明として, 不確定性原理を用いたモノも考えられる. ミクロな粒子の位置と運動量を同時に正確に決定できないということは, ニュートンの運動方程式を用いて粒子の軌跡を記述することが出来ないという意味. すなわち, 衝突後の行方はわからない.
- 13s3008:
- 孔を 3 つに増やしたときに, 電子の確率分布はどのように変化するのですか. M: 孔を規則的に開けて増やすと, 回折格子に近付いていきますね.
- 13s3009:
- 粒子の交換に対して, 波動関数が対称か反対称かは 何によって決まりますか? M: ボース粒子なら対称, フェルミ粒子なら反対称であると, 説明したのだが......
- 13s3010:
- 波動関数が, よくわかりません.
は具体的な数値や式で表せるものなのですか? M: もちろん! 教科書の次節を参照.
- 13s3012:
- ミクロの世界の粒子に対して, 単位の積が
J
s (エネルギー×時間) になる組合せの物理量が同時に確定できないのは何故ですか. 説明が良く分からなかったので… M: 教科書の説明が分からなかったのか? それとも, 私の説明が分からなかったのか? // 私の説明を繰り返すと: 位置と運動量の間の不確定性については, 位置を正確に決めようとして波長の短い光を当てると粒子に大きな運動量を与えてしまい, 逆に粒子の運動量を乱さないようにエネルギーの小さい光を用いると位置の不確定さが増してしまう. エネルギーと時間との間の不確定性については, 電磁波のエネルギーを知るためには振動数を知ればよいが, 測定時間内に一回未満の端数の振動数を数えることはできないので, 正確に測定するためには, より長時間かけて波の振動数を数える必要がある.
- 13s3013:
- 電子検出に使われる電子源は どんな仕組みなんですか. [時候の挨拶は省略] M: たいていは, 仕事関数の小さい金属を加熱する. 今はほとんど見なくなった, 真空管 と同じ. // 電子の流れがあれば, それは電流のこと. 実験では, 電圧や電流をコントロールするのだろう.
- 13s3014:
- フェルミ粒子が偶数個含まれる原子核がボース粒子になるのは なぜですか. M: 13s3001
- 13s3015:
- ・ボース粒子, フェルミ粒子は粒子間相互作用が弱いときに成立するそうですが, なぜですか. // ・ボース粒子, フェルミ粒子は時間や位置を制限するのか. M: その ``粒子間相互作用'' とは, 何か? // 質問の意味が分からない. 粒子が時間を制限するとは??
- 13s3016:
- 電子の周囲は生成, 消滅する光子が霧のように覆っていると考えられているという記述がありますが, 光子はエネルギーをもっているため, その光子の明滅が電子の運動の観測に影響を与えますか? M: 比喩的な表現に深い意味を求めてもナンセンス. 電磁気力は光子が媒介する.
- 13s3017:
- 不確定性原理のところで位置と運動量が
x
, エネルギーと時間が
という関係で表されるということでしたが
は何を表しているのですか. (先生は
を使っていましたが) M:
はプランク定数で
は円周率. 合わせて, 二つの物理量の不確かさの積は, 有限の値以上であり, ゼロにすることはできないということ. // 私が使ったのは
(ただし
).
- 13s3018+:
- ・なぜ波動関数は複素関数なのか? // ・なぜ, ミクロな粒子や物体に波長が長い光をあてると位置が不正確になるのか? M: それが自然の本質だ. // 光学を勉強すればいいのでは(?)
- 13s3019:
- 熱力学における「状態」というのは, 温度や圧力のことを指しますが, 量子力学における「状態」は, 粒子のどのような状態を指すのでしょうか. 具体的な「状態」はあるのですか. M: 少し誤解している予感. 熱力学でも量子力学でも, 「状態」は「状態」です. 熱力学的状態は, 内部エネルギー
, 温度
, 体積
, 圧力
, 物質量
, 等々の変数により特徴づけられている系の状態です. これら, 内部エネルギー
等は互いに依存しているものもあり, 状態が指定されれば (その履歴に依存せずに) 一意に決まるモノなので, 状態関数とも呼ばれます. // 量子力学的な状態も同様で, 複数の変数によって特徴づけられる, 系の状態です. ただし量子系に特有なこととして, 系を指定する変数 (index) に ``量子数'' という離散的な数が登場します.
- 13s3021:
- 前期の化学で物質はその共鳴形が多いほど安定すると習いましたが, それはなぜですか? 電子の粒子性と波動性に関係はあるのですか? M: おそらく有機化学の話だと思うが, 担当教員に聞けばいいのでは(?) // それには, 共鳴形をどこまで考えるのかという点に, 恣意性があると思われる.
- 13s3022:
- 不確定性原理の不確定さを極限まで小さくすることはできますか? M: 誤解の予感. ``不確定性原理の不確定さ'' とは, 何のことですか?
- 13s3023:
- 孔を通る電子の実験で, 孔1, 孔2 の両方を開けているときは 1 つの電子が両方の孔を通過していると説明していましたが, これは電子が孔を通るときに分裂して, 検出板に達するまでに元に戻っているということなのでしょうか. M: 全く違う. それでは電子は粒子的に振る舞っている. // 分かれた電子は, どうやって相手を見つけて合体するのか?? 電子は分割可能な粒子なのか?
- 13s3024:
- 電子の運動が止まることはあるのですか? 狭い領域に閉じ込めなければ静止させることは可能なのでしょうか. M: 止まっている電子の, 位置と運動量を測定したら, どうなるでしょうか?
- 13s3025:
- [右方向に運動している粒子に上下から光を当てるの図は省略] 光を逆方向同士でうちこめば粒子はブレないと思うのですが どうでしょうか. M: ``光ピンセット'' という技術がある. // 直交方向の位置と運動量 (例えば
と
y) は, 不確定性関係にない. // 粒子の運動方向に対して垂直な方向から光子を当てるためには, その粒子の位置と運動量についての完全な情報を持っていなければならないが, それは不可能であることを不確定性原理は示している.
- 13s3026:
- フェルミ粒子が偶数個でまとまっているなら, ボース粒子として扱っていいことになりますか. M: なぜ, そう考えたのでしょうか? 13s3001 参照
- 13s3027:
- 「ミクロの粒子は区別できない」とは, 機械などで粒子を見た時の話のことですか? 例えば一方に力を加えた時などは区別できたりしますか? [時候の挨拶は省略] M: 12s3026 参照
- 13s3028:
- 確率のその絶対値の 2 乗で与えられる複素数を導入し, それを確率振幅と名づける. とあるんですが 確率振幅と波動関数って同じ意味なんですか? M:
と
とは同じ意味か?
- 13s3029:
- ヒッグス粒子というものを聞いたことがありますが, ボース粒子やフェルミ粒子とは何が違うんですか. スピンや電荷などですか. M: ヒッグス粒子はスピンも電荷もゼロのボース粒子.
- 13s3030:
- ミクロな粒子の位置を正確に決められないとのことですが, ミクロな粒子の集まりであるマクロな物質はなぜ位置が特定できるのでしょうか. M: 誤解の予感. ミクロな粒子でも位置を正確に決めることはできる. // マクロな物質の位置を特定したとして, その不確かさはどの程度か?
- 13s3031:
- スリットに向けて電子を打ち出す実験で, 電子源とスクリーンの間を飛ぶ電子の個数を, 「1 個」でなく「1 個以下」と表すのはなぜですか. また, 1 個よりも少ない電子とは どのような状態になっているのですか. M: 電子源から飛び出す個々の電子は, どのタイミングでどんな速度で出ていくのかを正確にコントロールできない (当面は実験上の都合と考えてもよい). 13s3013 参照 //
飛び出してくる電子の数は, 「平均して毎秒○個」としか言えないし, スクリーンに到達するまでの時間も「平均して○秒」と言うしかない. 電子が平均して毎秒 1 個飛び出し, スクリーンに到達するのに平均して 0.5 秒かかるとすると, 飛んでいる電子の数は? // もしも「平均 1 個」なら, 約半数の電子は複数個同時に飛んでいることになる. それでは単一の電子の現象とは言えない.
- 13s3032:
- 波動関数の二乗が粒子の存在確率に比例するときの比例定数について, よくわからなかったのですが. この比例定数は, ほとんどの場合で同じということなのでしょうか? M: いいえ. 比例定数は任意. よって, ある波動関数
とその定数倍の波動関数
は, 同じ意味.
- 13s3033:
- どうしてスリットには 2 つの線があるのか? M: ヤングの二重スリット実験について調べてみれば(?) // もしかして... スリットとは細長い孔だから, 手前の縁と向こうの縁がある.
- 13s3034:
- 教科書では
ですが, 授業では
となっているのは なぜですか. M: 見間違いでは(?) 13s3017 の回答参照
- 13s3035:
- 図4.3 の 2 つの孔を通る電子の実験で電子源とスクリーンの間に電子が 1 個以下でなくてはいけないという話がありましたが, どのようにして電子が 1 個以下の空間を作り, それを保つのですか? M: 微妙に誤解の予感. 13s3031 参照
- 13s3036:
- ミクロな粒子の動きは実際にどのようになっているのかを確定的に観測することはできないということですか. M: なぜ他人の同意が必要なの? 教科書や参考書を良く読んで考えれば(?)
- 13s3037:
- ボースさんとフェルミさんは共に研究してボース粒子・フェルミ粒子を見つけたのでしょうか それとも個別に研究してそれぞれ 1 つずつ見つけたのでしょうか. M: 読書感想文ネタ(?)
- 13s3038:
- もし同種粒子を何らかの方法で区別できた場合, ボース粒子とフェルミ粒子, どちらの粒子に特定できますか. M: 物理学の論理構成を理解していないようだ. // ミクロな同種粒子は互いに区別できない. ミクロな粒子はボース粒子とフェルミ粒子に分類できる. これら現代物理学の基礎を否定すれば, 全くちがう物理学になる. われわれの世界とは異なるその世界では, ボース粒子やフェルミ粒子は存在しない. // または, 論理学的に考えてみる. 区別できることは偽である. 前提が偽ならば, どんな命題も真である.
- 13s3039:
- 1 つの電子が 2 つのスリットを同時に通ることを証明することができないのは なぜですか. M: 誤解. ひとつの電子が二つのスリットを同時に通っているから, スクリーンに干渉縞が表れる.
- 13s3040:
-
の式で干渉項の部分の複素共役とは なんですか. また,
と
が分けられるのは ハイゼンベルグ氏が提唱 (?) した行列的な考え方と関係があるのでしょうか. M: えぇと, 数学の基礎の基礎を復習する必要がありそう. 複素数
(
と
は実数) の複素共役は
だ. // 普通に計算してみればいいのでは(?)
- 13s3041:
- 1 つの電子が 2 つのスリットを通るとか実感わかないですけど. スリットのそばで, 電子がどちらのスリットを通るのか観察しても, 波のようにふるまった分布になるんですか? M: スリットのそばで見張ると, 電子がどちらのスリットを通ったかがわかる. 外村彰 ``量子力学を見る'' に記載の, 電子の裁判 を読んでみてはいかがか. もちろん朝永振一郎の ``光子の裁判'' もね
:-)
- 13s3042*:
- 不確定性原理の
の式でプランク定数を使うのは, 光が関係しているからですか. M: プランク定数は, ミクロ世界の非常に重要な基礎物理定数であると言える.
- 13s3043*:
- 「スピン」というのは粒子が回転しているというのだとしたら, 色や傷がついていない粒子をどのように何回転しているか判断しているのですか? M: 比喩的な話に深い意味を求めてもナンセンス. 三次元空間における第四の自由度を自転にたとえただけ. 従って自転の速度を求めようとしてもムダ. しかし磁気モーメントとの相性は良く, その意味では良くできたたとえ話ではある.
- 13s3044:
- フェルミ粒子が 2 個以上同じ状態をとることができないとあるが, スピンから考えて, ボース粒子とフェルミ粒子がくっついたフェルミ粒子がパウリの原理をやぶることはないでしょうか? M: するとフェルミ粒子には二種類あって, 同種粒子の交換に対して反対称な波動関数を持つモノと対称な波動関数を持つモノがあると. それって, どういうこと?
- 13s3046:
- ミクロの世界における粒子が二つの孔を通る確率はすべて電子と同様になるんですか? M: 意味不明. ``確率が電子と同様'' とは, どういうことか?
- 12s3017:
- 光子の質量は 0 であるのに運動量が無視できないのは なぜか? M: 私たちの世界の光子は, そういうものなんです
:-)
- 12s3024:
- 電子の確立[原文ママ]分布で確立が 0 のところでは本当に電子は検出されないのですか? M: それを聞いてどうするのでしょうか? // 確率が 0 とは, どういう意味なのか?
- 12s3026+:
- 同じ粒子に位置を割り振ると粒子の区別が可能になってしまうと思うのですが, 粒子の位置の関数である波動関数を用いてもいいのでしょうか? M: もしかして ``区別できる/できない'' の意味を理解できていない(?) もしも区別できるのならば, 粒子を交換する前と後とは別な状態である. これは, 二つの同種粒子を別々の場所に置くことが出来るのとは意味が違う.
- 12s3047:
- 話を聞いていないだけならばすみません. 波動関数を 2 乗しないと物理的意味をなさないのは なぜですか? // それから 質量数 4 のヘリウムはボース粒子とおっしゃっていましたが, この質量数でない He はボース粒子ではないのですか? 質量数によって, 原子はボース粒子かフェルミ粒子かが異なるのでしょうか? M: 波動関数とは, そういうもの. もしも波動関数がそのままで物理的意味があるなら, 例えば粒子の位置が複素数になったりする. これって何? // 13s3001 参照
- 11s3001:
- 質量, 電荷, スピンが等しい同種粒子は区別できないということですが, ほどほどに大きい粒子ならほどほどの電磁波をあてることで, ほどほどの位置と運動量を把握して区別することができないでしょうか. M: ほどほどには区別できるかもネ
:-)
- 11s3014:
- 基礎的な事だと思うのですが, なぜ短波長だとエネルギーが大きくなるのでしょうか. 1 つの山が大きいから ? とも思いましたが, 正直波長自体何なのかもわかりません. M: 物理学の基礎を復習する必要がありそう. // 光 (電磁波) は, 波長
に反比例した量のエネルギー
を単位として持つというのが, 私たちの世界の光の持つ性質. 波長と振動数との関係は,
.
- 11s3022:
- 色がついている溶液は, 溶液内で電子の遷移がおこっている事により我々には, 色が見えますが, 仮にその遷移をとめることができたら, その溶液は, 透明になるのでしょうか? M: ``遷移をとめる'' とは, どういうことか? // 遷移が起こらなければ, 光を吸収しなければ, それは何色か?
- 11s3031:
- 不確定性原理は, ミクロな粒子にのみ対応する原理なのですか. M: 物質波は(?)
- 11s3032:
- スピンが整数, 半奇数とは違いがあるのか. M:
と
は 同じモノか?
- 10s3008:
- 不確定性原理で, 決定しようとするものは位置
及び運動量
x ですが, なぜ式に表すと
,
x で示されるのでしょうか? M: 不確定性原理とは?
は
と何が違うのでしょうか?
- 10s3017:
- 電子のような小さなものでも小さな波長の光をあてて, はね返ってきたものでどこに存在するかは正確に分かると思うのですが… M: そうですね. それで? // 13s3012 も参照
- 10s3028:
- 偏光板により一つの向きのみとなった光はもとの光とどのような性質の違いが見られるのか. M: 光の偏光面と偏光板の偏光方向とのなす角度に依存して, 偏光板を透過する割合 (確率) が決まってくる. 偏光していない光では, 偏光板の偏光面の方向に依存しない単なる透過率.
Ryo MIYAMOTO, 2014-01-09