化学の基礎II(G) (20131119)
M: 以下は宮本のコメント
- 13s3001:
- 物理学において, 重要な法則は何年も前に発見されていますが, 今後も新たに物理法則が見つかる可能性はあるんですか? M: 万物理論 (TOE) など, 物理学には未完成な部分もあります.
- 13s3002*:
- 与えた熱が仕事になる比率は, 現在, 最高でどのくらいの比率ですか? M: 13s3030 参照
- 13s3003+:
- 非生産的な話だが, もし等温条件で膨張時に
よりも小さい仕事を取り出し, 圧縮時に
よりも大きい仕事を投入した場合, 差分のエネルギーは系の中でどのような形で保存されているか. M: 講義では説明をしくじりました m(__)m
等温条件で仕事の収支が負ということで, 結局この場合は, 仕事が熱に変換されたということです.
- 13s3004:
- 準静的過程は現実にはなしえない仮想的な過程であると教科書には書いてありますが, 水→氷の変化は可逆変化であるので, 準静的過程=可逆変化 と記述するのは矛盾があるのではないでしょうか. M: 水→氷の変化において, 系から外界に熱が流出しています (とりあえず体積変化は無視). 現実には熱が移動するのは, 物体間に温度差が存在するときです. 外界の温度を水の凝固点よりも無限小だけ低くすれば, 等温の条件下でも系から熱を取り出し水の凝固が進行しますが, 無限小という数学的な極限は現実にはなしえないものでしょう.
- 13s3005:
- なぜ 準静的過程=可逆変化 となるのですか? よく分かりませんでした. M: 準静的過程では, 系が外界と平衡状態を保ったまま, 系の変化が進行する. 平衡状態にある系は, ある変数 (例えば圧力) が無限小だけ変化することにより変化の方向が決まり, 無限小変化の符号 (増加か減少か) が逆になると系の変化の方向が逆になる.
- 13s3006+:
- 熱をすべて仕事に変えることはできないというのは過程の中で余計な熱が必ず出るということでしょうか. M: 余分な熱が発生するというよりは, どうしても仕事に変えることが出来ない部分があるということ.
- 13s3007:
- トムソンの原理やクラウジウスの表現にある「他に何の変化も残さない」というのがよくわからないのですが, どういうことなのでしょうか. M: 状態を記述する様々な変数 (状態量: 圧力, 体積, 温度, 内部エネルギー, そしてエントロピー など) の値が, 全て以前と同じに戻るということ, と考えてはいかがでしょうか.
- 13s3008:
- 氷から自然に融解して水になるのは, 自発的に低温物体から高温物体に熱が流れているのではないんですか. M: 違います. 室温の部屋に置いた氷が融けるのは, 氷が融解熱に相当するエネルギーを外部から受け取り水に変化するのですから, 熱は高温側 (部屋) から低温側 (氷) に移動しています. または融点における変化だけを言うのであれば, 氷も外界も融点という同一の温度ですから, 温度差はありません.
- 13s3009:
- 現実で準静的過程をつくることができないのは なぜですか? M: 準静的過程では, 内圧と外圧を等しい状態に保ったまま, 気体の体積を変化させます. しかし現実には, 内外の圧力に差が無ければピストンは動かず, 差があるから体積が変化するのです (ピストンの摩擦は無視). ここをクリアするための便法として無限小の圧力差を導入しますが, こういう数学的に極限の状態は, 現実には存在しません.
- 13s3010:
- 熱をすべて仕事にすることはできないとありましたが, 逆に仕事をすべて熱にするのは可能ですか? M: 普通, そうなっているのでは? エネルギーの散逸について調べてみてはいかが(?)
- 13s3011:
- 断熱変化における圧縮のときも, 膨張と同じように準静的過程の方が体積変化が小さいにもかかわらず仕事量は小さいのですか. M: 自分で計算してみればいいのでは(?)
- 13s3012:
- トムソンさんが爵位を受けてケルビン卿となったという事でしたが, このケルビン卿と絶対温度の単位の Kケルビン は何か関係があるのでしょうか? M: 読書感想文のネタ発見?!
- 13s3013:
- 日常 自発的過程が使われているものはどんなものがありますか M: 13s3009 参照 // 現実の過程は不可逆なので, 必ず自発的過程が含まれている.
- 13s3014:
- 等温変化で, ピストンにかける圧力を少しずつ変化させる過程を ``準''静的過程 と呼ぶならば, 静的過程もあるのですか? あるならば, どのような過程ですか? M: 13s3009 参照 // 動かない過程が静的過程(?)
:-p
- 13s3016:
- 現在もっとも効率よくサイクルを行えるものはどのようなものがありますか? M: 13s3030 参照
- 13s3017:
- 教科書 p.53 の例題の
(
) という式の ``
'' は何を表す数値なのですか. M: 定圧比熱と定容比熱の比. アトキンスの物理化学を参照.
- 13s3018:
- ・熱力学の第二法則は経験則で得られたものですか? // ・等温より断熱の方が仕事をとりだせないのはなぜですか? M: 公理から演繹的に導出されたわけではない. // 自分でどれだけ考えたのか? Hint: 断熱膨張では系の温度が低下する. すると終状態の気体の体積は...
- 13s3019:
- 準静的過程が, 現実にはなしえない仮想的な過程とありますが, 可逆過程も仮想的なものといえるのですか? M: ``準静的過程=可逆変化'' なら, どうか?
- 13s3020-:
- 圧力を下げる段階を増やせば増やすほど, 取り出せる仕事は多くなるということでいいのでしょうか? M: 自分で判断できないのは, 何故か?
- 13s3021:
- 一気に気圧を下げるより複数回にわけたほうがより仕事をえられるという事実に自分はおどろきましたが, 先生は最初にしったときおどろきませんでしたか? M: それを聞いて, どうする?
- 13s3022:
- 準静的過程をとる場合, 時間は無限大にかかるとのことでしたが, 単位時間あたりに, 最も多くの仕事をする過程に特別な名前はついていますか? M: 熱力学では, おもに様々な平衡状態とこれらの状態間の遷移をあつかいますが, 遷移の速度についてはあつかいません. // ``単位時間あたりの仕事量'' という物理量には, SI で特別な名称と単位がついていますよネ
:-)
- 13s3023:
- 現実の過程では不可逆過程なので, もとに戻すときの仕事のほうが大きく結果的に仕事の収支は負の値になります. このサイクルを繰り返していくと熱はなくなり, ピストンは自発的には動かなくなるのでしょうか. M: 13s3003 参照
- 13s3024:
- 等温変化で, ある状態 A からある状態 B に変化させるときの仕事量は, なぜ, 変化経路によって変わってしまうのか? ヘスの法則のように経路によらず一定にならないのはなぜですか? M: 仕事は状態量ではない. 実際に計算してみて, 納得してください.
- 13s3025*:
- 断熱状態で気体の体積を無限に大きくするならば気体からは無限大の内部エネルギーが放出される必要があるように思われるが これはある得るのだろうか. M: 体積が無限大になるためには, 外圧はゼロ. すると得られる PV 仕事は... // ``自由膨張'' では, 系は仕事をしない.
- 13s3026:
- 準静的過程はトムソンの原理より現実では不可能ということですか? M: 著しく誤解の予感 // 13s3009 も参照
- 13s3027:
- 本日の授業中の過程1, 過程2 について説明している時に, 過程1 の仕事を求めるときは, 気体がした仕事をもとめていたのに対して, 過程2 は外界が受けとった仕事を求めていました. 両方同じことを言っているのはわかるのですが, 気体が, 外界がとわけた理由はあるのですか. M: 別に, 分けてない. あなたが理解している通り, 両方同じことを言っている.
- 13s3028:
- 水→氷の変化は可逆ですが, 水の蒸発はどのようになるのですか? 水蒸気は温度が下がって結露して水に戻るから, 可逆過程とみなしてよいのでしょうか. M: 単純に ``元に戻るから可逆'' は誤解. 水と水蒸気の間の平衡を保った相変化について考える. 13s3005 の回答も参照
- 13s3029:
- 気体の膨張・圧縮のサイクルをくり返すごとに, 外界の仕事が熱に変換されていくと教科書にありますが, この熱が負になることはありますか. M: 熱が負ということは, 気体が外界に仕事をすることになる.
- 13s3030*:
- 100 % 熱を仕事に変えることはできないということですが, 理論上では最大何 % まで仕事に変えることができるのですか? M: 熱機関の最大の熱効率については, マッカーリ&サイモンや アトキンスの物理化学の本を参照. 現実の装置・設備では, 火力発電所で 40 % 位のようです.
- 13s3031:
- 一気に圧力を変化させたときと 準静的に変化させたときで結果が違うのはなぜですか. M: 仕事の定義を確認して, 自分で計算してみればいいのでは(?)
- 13s3032:
- 圧力を変化させる速度を変えることで自発過程が起こる速度は変わりますか? M: 13s3022 の回答を参照
- 13s3033:
- Joule はどのような実験をして 1 cal = 4.184 J と定めたのか. M: 読書感想文ネタ発見!?
- 13s3034:
- 熱力学第二法則の定義 表現が 1 つに統一されていないのは なぜですか. M: 統一する必要があるのでしょうか? // または, 読書感想文のネタ, 発見!?
- 13s3035+:
- クラウジウスの表現に関してですが, どうして低温物体から高温物体に熱が自発的に流れないと確実に言えるのですか. M: 現実に, 流れないでしょ(?) 高温の物体と低温の物体を接触させておいたら, 高温側から低温側に熱が流れて, 最終的に二つの物体の温度が等しくなるのが自然では(?) 高温側がより高温に, 低温側がより低温になることは, ないでしょ.
- 13s3036:
- 少しでも自発過程があると不可逆とのことですが 可逆過程にはどのような反応がありますか. M: 可逆なのは ``過程'' であって, 反応の種類ではない.
- 13s3037:
- 章題が エントロピー増大の法則 であるがエントロピーは減少しないのでしょうか. M: (エネルギーを消費して) 局所的に減少することはある.
- 13s3038:
- 第 2 種永久機関とは何ですか. M: 自分でどのくらい調べたのか? // p.58 の例題参照
- 13s3039+:
- 系からの仕事や, 放熱によって, 外界が変化しますか. それとも, 外界は大きいので関係ないのですか. M: 外界の熱が増えれば, それは前とは異なる状況では?
- 13s3040:
- 現在では仕事を取り出して投入するサイクルでどれだけ負の値を小さくできますか? M: さあ. 現実には等温とは限りませんから.
- 13s3041:
- 冷蔵庫とかって圧縮, 膨張のサイクルを使って冷やしているのですか? // [前回の→] テレビやパソコンなどは赤, 緑, 青の三色で白や黒を再現できてるものだと思ってましたが, 厳密には再現できていないということですか? M: 冷媒のガスの膨張時に庫内から熱を奪い... // ``厳密に再現'' とは?
- 13s3042:
- 熱力学第二法則で, 熱は, おおよそ何 % くらいなら仕事に変換できますか. M: 13s3030 参照
- 13s3043:
- 等温変化とは, 系の気体の温度が常に一定ということなので, 発生した熱は系の中に残らず, すべて仕事に変わったといえ, 第二種永久機関ではないんですか? M: サイクルしてください.
- 13s3044:
- すべての過程を準静的過程で行ったときのみ, 系も外界も元に戻すことができるとあり, 元に戻せる過程は可逆過程と呼ぶとあるが, 現実の世界に, 準静的過程=可逆過程はあるのか? M: 13s3009 参照
- 13s3045:
- 準静的過程が自発的に行われるのは, どのようなときですか. M: 可逆過程なので, 自発過程ではない.
- 13s3046:
- 外界から熱を吸収して 100 % を仕事に変換することはできないとのことでしたが, 今現在最大で何 % の変換が可能なんですか? M: 13s3030 参照
- 12s3017:
- 熱力学の第二法則は破られたことがあるのでしょうか? M: 第二種永久機関は作成可能なのですか?
- 12s3024:
- 外界と系がともに 0 K のときの圧縮を準静的過程で行うと どうなりますか? M: 別に. 普通に考えればいいのでは?
- 12s3026:
- トムソンの原理で熱を仕事に変えるだけで何の変化も残さない過程は不可能とありましたが, 実用的には熱を仕事に変える効率はどれくらいで車などは動いているのでしょうか? M: 13s3030 参照
- 12s3047:
- 来週の講義の内容と関わってくるかもしれませんが, エントロピー
を求める式が
と定義されていますが, なぜこの時 準静的過程で積分されているのですか? 不可逆過程で考えないのは なぜですか? M: (3.13) の定義を参照.
- 11s3001:
- 第二種永久機関はつくることができないということですが, 現代でもたびたびそのような機関を発明したという人がいる, というのを聞いたことがあります. そう勘違い (?) してしまうような現象や誤差があるのでしょうか. M: 別に. 熱力学をきちんと理解していれば, 勘違いする要素は無いはずですが...
- 11s3014:
- クラウジウスの表現について, 他に何の変化も残さずに (略) 流れることはない, とありますが, 何か変化があれば, 実際に冷たいものから熱いものに熱を流せるのでしょうか. 変化の例など, 教えていただきたいです. M: 13s3041 参照
- 11s3022:
- 標準生成エンタルピーの示す「標準」とは, 生成物の標準状態を示すものですか? それともその反応の系が標準状態であることを示すのですか? M: p.44 の記述をよく読めば分かるのでは(?)
- 11s3031:
- 一気に圧力を減らした時と, 準静的過程で圧力を減らした時, 取り出せる仕事に差が出来るのは, なぜですか. M: 13s3031 参照
- 11s3032:
- 1 サイクルで取り出せる仕事の収支が 0 以下ということですが, 気体と外界の立場を入れかえれば, 外界が仕事を得られたことになるのでしょうか. M: 13s3003 参照
- 10s3008:
- エントロピー
と状態数
の関係について, ボルツマンの原理に例外はないのですか? M: 原理というか定義ですから.
- 10s3017:
- 固体にも内部エネルギーはあるのか. M: H や S がゼロではないので.
- 10s3028:
- 常温だと分子は様々な運動をしていますが その運動が停止するまで温度を急激に下げた場合 その時点で不安定な構造となっている分子はどのような動きを取りますか. M: 別に. 普通にその状態で止まるのでは(?)
- 09s3043:
- ブラックホールに吸い込まれると外には何も出てこないということは, 熱のやり取りを伴わない一種の断熱過程と考えられますが, 結局, 外部のエントロピーは減少してしまい孤立系のエントロピーは増大する熱力学第二法則には反してしまうのでしょうか? M: 本当に断熱過程なんですか? // ブラックホールが物質を吸い込むと, それだけブラックホールのエントロピーが増大するのでは(?)
- 記名なし:
- 1 サイクル後の収支が負になるということは, 将来 熱を仕事に変換できなくなるということでしょうか. M: 13s3003 参照
Ryo MIYAMOTO, 2013-12-19